若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「一応、桐江さんに見張らせていた。お前が不貞や犯罪行為などに手を出さないように」

「……ああ、なるほど」

美夕が法に触れるようなことをすれば、それは北菱家の不祥事になる。

念のため、桐江に美夕の行動を監視させていたのだろう。

「ですが、桐江さんと一緒に暮らしていたのは、二十歳までです。そのあとのことは、あなたも知らないのでは?」

「彼女だけはお前の携帯端末の位置を確認できるようにしておいた。男の家に泊まり込むようなことがあれば、すぐにわかる」

「え……」

思わず自身の携帯端末を見る。そんな細工がされていたとは夢にも思わなかった。

「まあ、そんなことはどうでもいい。言いたかったのは、そのことじゃない」

「や、どうでもよくは――」

「夫へ操を立てていたんじゃないのか?」

不遜な笑みを浮かべて言い放つ慶に、美夕はごくりと息を呑む。

もちろん人妻という自覚はあったから、軽々しく男性と交際をしようなどと考えたことはなかったが、それ以前に、男性に対して興味が湧かなかった。

美夕はこれまで、慶以外の男性をオトコとして見たことがない――それは『操を立てていた』というより『長い長い片想い』。

予期せず自覚し、美夕は恥ずかしさと苛立ちで頭に血が上る。

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