若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「会議は……?」

「飛んだわよー。上層部が文嶺砲の後始末に駆り出されてるからね」

猫のマグカップを傾けながら、桃山が気だるく答える。

美夕がデスクに荷物を置くと、隣の青谷はモノトーンのストライプマグを口もとに運びながら、ぎょっと眉をひそめた。

「つか北菱、クマ、ひどくない?」

「え……そ、そうかな」

『夫婦になるか離婚するか選べ』――悶々と悩み続けて、最近は寝不足だ。

「確かにひどい。なにかあったの?」

「あー……先週、ちょっと旦那と話をしまして」

ふたりの手がぴたりと止まる。美夕に旦那の話題はタブーであると、ふたりは知っているのだ。

「学生結婚したけど速攻別居状態になったっていう、例の旦那のこと?」

「とうとう離婚することになったんだ?」

青谷はかねて『そんな男とはさっさと離婚するべきだ』と美夕に強く勧めていて、今も目を輝かせながら離婚報告を待っている。

しかし、美夕は気まずそうに「あーそれがー……」と切り出した。

「むしろ、復縁っぽいことを、勧められまして……」

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