若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
桃山は驚いた顔、青谷は引きつった顔だ。

美夕はこんなところで口にする話題ではなかったなと、少々後悔しながらノートPCを起動した。

「あれだけ自立して離婚するって息巻いてたのに、三行半、突きつけなかったんだ?」

桃山の言葉に、美夕は「う~ん……」と悩ましげに答える。

一番不思議なのは美夕自身だ。離婚を固く決意していたはずなのに、なぜ今さら考え直しているのか。

「北菱さんって、普段は結構しっかりしてるのに、旦那さんのことになると急にうじうじになるのね」

会社ではしっかり者の美夕である。そもそも美夕はドライな性格で、大抵のことは『悩んでいても仕方がない』精神で乗り越えられてきた。

(こんなにも私ってうじうじしていたかしら……)

割り切れないのは、慶に関することだけだ。

「つか、六年も放置で、相手は他の女と遊びたい放題なんだろ? そんなゲス男、さっさと捨てちまえばいいよ」

「遊んでないとは言ってた」

「信じんなよ! 嘘に決まってんじゃん」

嘘なのかなあ?と美夕は首を捻る。とても嘘をついているようには見えなかったけれど、そう信じたいだけなのかもしれない。

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