若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
ああ、なるほど、と美夕は腑に落ちる。慶にとって、料理はプレゼントのようなものらしい。

「頑張らない程度に作ります」

「そうしてくれ」

慶は夕食を綺麗に平らげると、まだ仕事の続きがあるからと自室にこもってしまった。「片付け、手伝えなくて悪い」と律儀に断りを入れて。

いずれにせよ、自分で片付けようと思っていたので、なんてことはない。

(初めて、妻っぽいことをしたわ……)

これが結婚生活というものだろうか。

夕食を作って、おいしいと言ってもらう、あまりにも当たり前で素朴な喜びに、胸がうずうずと騒いでしまう。

(……悪くはないかもしれない)

結婚生活一日目、割と好調な滑り出しだ。

まだ仕事をしている慶に悪いなあと思いつつも、美夕は先にシャワーを浴び、リビングでひと息着いた。

ソファに座り、グラスにフォンダンウォーターを入れてローテーブルに置く。

フォンダンウォーターとは、炭酸水にドライフルーツを漬け込んだもの。以前『お手軽な美容ドリンク』という紹介記事で雑誌に取り上げたことがある。

ドライフルーツは朝食を食べたレストランで見かけてテイクアウトした。

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