若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
慶はワインクーラーからボトルを取り出すと、布巾でサッと水気を拭き取り、ドライフルーツと砂糖の入ったグラスにワインを注いだ。

マドラーでからからとかき混ぜ、グラスを美夕の前に置く。

「飲んでみろ。甘めに作ったから」

「わ、私……?」

たくさん砂糖を入れたのは、美夕のためだったらしい。戸惑いながらグラスを口に運ぶ。

果実の上品な香り、葡萄のツンとするような渋み。口に含むと、それらが口いっぱいに広がって鼻に抜けた。

ワインはそこまで得意ではない美夕だが、フルーツと砂糖が多めに入っているせいか飲みやすい。大人の味ではあるが、おいしいと思えた。

「おいしいです」

「敬語」

「お、おいしいわ」

慌てて言い直すと、慶は「よろしい」とつぶやいて、少々いじわるな笑みを浮かべた。

「明日の朝食はどうする。食べに行くか? それともなにか買ってきたのか?」

「あ、買ってきたので家で食べ……る……」

慌てて敬語を修正すると、慶は腕を組んでくつくつと笑った。

「わかった」

(外で食べたいって言ったら、また付き合ってくれるつもりだったのかしら?)

< 94 / 254 >

この作品をシェア

pagetop