童話書店の夢みるソーネチカ
 話を聞いていると、まれにゆかの語尾が落ち込むのが気になった。変な間が空いたり、苦笑いが混じったり。

 まるで心に引っかかていることがあって、素直にハロウィンを楽しめないみたいな。  

 これって聞いていいのかな。  

 触れてほしくないかも……。でも一応人生の先輩として何か助言できるかもしれないし!  

 千花は相槌を打ちながら、胸中の葛藤を無理やり決着させた。そもそも気になったことはすぐに口に出してしまう人種なのだ。

 自分で考えるより思い切って質問するほうが千花の性分に合っていた。私の頭で考えても多分効率が悪い。  

 言葉を選びながら、ゆかの反応をうかがう。

「も、もしかして実はまだ仮装するか迷っていたりしない?友達の誘いでも嫌なときは嫌だって言ったほうがいいと思う、よ」  

 声が尻すぼみになってなんとも情けないが、思い当たることを尋ねてみる。

 ゆかはぽかんと口を開いた後、何度目かの渋面を作った。過干渉に呆れられちゃった⁉と千花は心の中で冷や汗をかく。

 罪悪感が足元からせりあがってくるようだ。

「ハロウィンパーティーは楽しみだし、恥ずかしくても友達と一緒に仮装したいなって思ってます。でも確かに、気がかりなことがあるんです。バレちゃったので話聞いてくれますか?」

「……お姉さんに任せて」  

 ……私の思いつきなんてやっぱりお粗末クオリティ。  

 ゆかの大人びた対応のおかげで恥をかくのは免れた。十分に自信を無くしたけれど、ともかくこの犠牲によってゆかの憂慮を聞き出せるのだから結果オーライだ。  

 ゆかは声が届くように丸椅子ごと千花に近づいて話し始めた。周りに聞こえる声量で語る内容ではないらしい。
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