童話書店の夢みるソーネチカ
「違うお姫さまの仮装をしようって提案は元々友達四人のなかでのことでした。でもそれがどこからか広まって、わたしのクラスでイベントに参加する人は、それぞれ違った仮装をして集まって写真を撮ろうって流れになったんです」

 ゆかのクラスの参加者が何人かはわからないが、全員被りなしというのは難しいと思った。

 お姫さまの仮装こそイレギュラーで、大抵は魔女のエナン帽子や吸血鬼のマントを装着した雰囲気的なものだ。

 渋谷のハロウィンなんかは誰もかれも精工で、本物にしか見えないゾンビだったりミイラだったりが闊歩しているけれど、あれは大人のエンタメだから実現できること。

 子どもであれば、それほどバリエーション豊かに満足な仮装はできないだろう。

 実際、千花の推測は的中していた。

「予想外のことだったけど、クラスが盛り上がるならそれでもいいかなって思いました。みんなが違う写真は想像すると面白いです。でも昨日、クラスの一人が大声で話しているのを聞きました。シンデレラのドレスを着るって」

 ……的中はしたけど、被るのシンデレラの方か!

 てっきり被って揉めるのは魔女さん帽子かと思っていた。しかしそれならゆかが悩むのにも納得がいく。

 時系列的にゆかが仮装をシンデレラに決定したのが先だ。だから被らないようにするならその子が別の衣装に変えるのが妥当だけれど、まさか他にシンデレラのドレスを着る人がいるとは思わなかったのだろう。

 気がかりだと言っているあたり、ゆかはまだその子に事実を伝えられていないようだ。
< 21 / 33 >

この作品をシェア

pagetop