童話書店の夢みるソーネチカ
「当たって砕けようゆかちゃん。宣言したからってその人が優遇されるのはおかしいよ。でももし事前に話し合うと当日のシンデレラは一人になっちゃう。ゆかちゃんも理絵ちゃんもなりたい仮装ができるように何もしないのがいいんじゃないかな。それに私の知ってるハロウィンパーティーは自由行動だったよ。町のイベントもそうなら理絵ちゃんの横に立たなければ衣装被りも目立たないし、パーティーの盛り上がりで気にもしないかも。写真はごまかせないけど……私はゆかちゃんにシンデレラになってほしいな」

 ゆかはうつむきかけたまま目だけで私を見上げて、ふっと笑みをこぼした。

 重たかった空気がラムネの栓が抜けたみたいに泡になって消えていく。半分は私のわがままだというのにゆかはむしろそれを喜んでくれているようだ。

「どうにかしないとって思い詰めてました。わたしもシンデレラなこと黙ってるのは悪い気もしますが、衣装はそのままで行こうと思います」

 気を使って友達にも相談してなかったのかもしれない。初対面だったが話を聞いてあげられてよかったなと千花は思った。

 ……もしかして柳木さんが私をここに来させたのって、ゆかちゃんが悩んでいるのに気づいていたから?

 営業スマイらない柳木を横目に、買いかぶり過ぎかと独り言ちる。

 それだけ人の心が読めるなら、私への非礼はどう説明がつくのだ。
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