童話書店の夢みるソーネチカ
 純黒の空は相変わらず世界と一体化した無だけれど、千花は確かに天上から降る声をとらえた。

 それは時間の残されていない千花にとって一筋の希望だった。

「お願いします、助けてください!」

 出せる限りの声で千花は叫んだ。数秒の後、数多の言葉が弾丸のように千花の頭上から降り注いだ。

「シンデレラ、あなたは奉仕する側でしょう?」

「おこがましい、恥を知れ」

「ばか言ってないで働きなさい。今日の仕事は終わったのかしら?」

「まあひどいわ!私の部屋のお掃除がまだじゃない!」

「朝食のお皿も残っているわよ。これはどういうことかしらね」

 ……やめて。

 声が混ざって頭の中に反響する。吐き気とめまいに襲われ、ふらつきながらも必死に体を支える。

 ……もう聞こえないで。頭の中に入ってこないで!

 耳が潰れるくらいに力任せに、千花はその穴をふさいだ。
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