童話書店の夢みるソーネチカ
「このくらいも満足にできないなんて、生きる価値があって?」

「本当に惨めだわ」

「邪魔。生まれてこなければよかったのに」

「亡くなった母親の後を追ってあげればいいのよ」

「みすぼらしい、目に毒だわ」

「消えろ……」

 ……もう…………やめて。

 一転不気味な静けさが訪れ、千花は恐る恐る耳をふさぐ手の力を緩める。

 壊れた人形のようにぎこちない動作で腕を下すと、どろりとした気配が背後からまとわりつき、耳元で囁いた。

「ばいばい」


 千花の絶叫はどこまでも拡散し、闇に溶けた。

 その声を合図に、埃が雪のように舞い落ち、四方から皿の砕け散る音が聞こえる。罵詈雑言は再び天から降り注ぎ、心をすり潰していく。
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