妹と人生を入れ替えました~皇太子さまは溺愛する相手をお間違えのようです~
「――――分かった」


 気づけばわたしはそう口にしていた。自分の返答に驚きつつ『やっぱなし』と口を開きかけたわたしの手を、華凛はギュッと握りしめた。


「本当ですか⁉ 嬉しい……ありがとうございます、姉さま」


 華凛はそう言って満面の笑みを浮かべる。こんな風に喜ぶのは珍しい。余程慣れない後宮生活が堪えたのだろう。


(3日間ぐらい交代してやらないとな)


 わたしが華凛なら2か月間も耐えきれなかったと思う。そう思うと、このぐらいの罪滅ぼしして然るべきだろう。


(それにしても、『凛風』の元に憂炎が通っていないなら、いよいよ『華凛』を妃にするべく動かないと)


 憂炎があの調子なら、華凛が一言『妃にしてほしい』とか『憂炎が好き』と囁くだけで目的を達成できそうだ。


(どうせなら入れ替わっている時、華凛に言って欲しいところけど)


 嬉しそうな華凛に水を差すのは忍びない。この計画を打ち明けるのはもう一度華凛と入れ替わる時でも遅くはないし、わたしが頑張ればいいだけだ。そう結論付けて、わたしは小さくため息を吐く。
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