スキナダケ
「会えて良かった」

「え?」

「ハナちゃんに会えて良かった。ずっと会いたかったの」

「ずっと?」

夕海がベッドから体を起こした。

ハナと夕海に掛けていた一枚のブランケットが夕海に引っ張られて、ハナの体の上からは無くなった。

夕海はそのブランケットを、ていねいにハナに掛けてくれたけど、ハナも体を起こしてベッドに座る形になった。

夕海はベッドから立ち上がった。
勉強机の傍の本棚から雑誌を一冊引き抜いた。

高校生になってからファッションに興味を持って、たまに読むようになったファッション誌。

カジュアルでも子供っぽくなりすぎない、清潔感があって、ちょっとボーイッシュなかっこいい女性をターゲットにしてる雑誌だった。

ワンピースもフリフリしすぎてなくてシンプルな物が多くて、ハナはこの雑誌のコンセプトが気に入っていた。

手に取るきっかけになったのは、高校生になったばかりの頃、街で読者モデルとしてスカウトされたからだ。

そのスカウトマンは本当に女の子だと思って声を掛けてきた。
すぐに男だって訂正したけど、面白そうだったから三回くらい、撮影を受けた。

自殺志願者に会った時に、「雑誌に載ったことある?」って聞かれたらこともあるけれど、他人の空似だよって誤魔化した。

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