スキナダケ
「そんなわけ無いじゃん。よく見なよ。これが演技なら全員大スターだよ」

「ハナちゃん…なんでこんなことしたの…」

「なんでだと思う?夕海には分かって欲しいな」

震える夕海の頬に触れたら、強く払い除けられた。
悲しかった。惨めだった。
無惨にも殺されたクラスメイト達よりも、恐怖で震えるこの二人よりもずっとずっと惨めだった。

「何の為にこんなことヤッてんのか知らないけど、君はもう終わりだよ!?華楽くん!君は…!」

「うるせぇーんだよ!」

大声を出したハナに、彼氏の肩がビクッと上下した。

「うるさいよお前。その名前で呼ぶな。さっきからずっとさぁ…なんでお前が…。そんな名前で呼ばれたって僕はもうほんとの僕には戻れない!夕海…君が居なきゃ…」

「ゃ…嫌っ!!!」

夕海に覆い被さるハナを彼氏が掴み掛かって引き離そうとした。

体が小さい。
思った通り、ハナより力も弱い。

「邪魔だよ」

ガツンッて音と一緒に、彼氏の動きが止まった。

バギージーンズのポケットは大きくて深いから本当に助かる。
隠し持った拳銃を彼氏のこめかみに突き付けた。

「ちょっと静かにしててくんない?うるさいんだよ、ほんとに」
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