スキナダケ
チラッとタブレットを見たら、砂嵐みたいに荒れた映像で止まっている。

用務員のおじさんが車に乗り込んだら、別の従業員が教室に入ってタブレットを回収する。
この映像は多分、もう教室の風景でも無いし、タブレットも壊れてるのだろう。

そして担任も今頃はもう、死んでるはずだ。
教室に邪魔者が居たら全員始末してって頼んでいた。

その死体はきっと教室には残されていない。
その場で殺して従業員が殺したって証拠が残ったらいけないし。

「ハナ…ハナちゃんお願いやめて…」

夕海がハナの下で、涙で顔をぐちゃぐちゃにして懇願する。

あぁ…可愛い…。
銃は彼氏に向けたまま、夕海の首筋に鼻を近付けたら微かに夕海の匂いがして興奮した。

久しぶりの夕海。
やわらかい肌。
飼い主のはずなのに、すっかり主従関係が逆転してしまってるけどそれでも構わない。
夕海がハナだけを見てくれるのなら。

「かぐ…ら…」

ドンッて部屋の壁が破壊される音が鳴って、穴が空いたところからボロボロと内壁材がこぼれ落ちた。

ゆっくりと自分の後ろの壁を振り返った彼氏の喉からゴクッと音が鳴ったのが聞こえた。

「だからうるさいって。何回言わせんの」

硝煙のにおいが妙に懐かしかった。
銃を使うことにも慣れてしまったら途端につまらなくなる。

ハナがやってたことって、こんなにもつまんないことだったんだ。

この男をどれだけ威嚇したって優位に立ったって、夕海の気持ちは戻らない。

分かってる、分かってる分かってる分かってる…分かってんだよ…。
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