スキナダケ
「お前はさ、夕海のどこが好きなの」

「僕は…」

「好きじゃないよね!?」

彼氏が答えるより先に夕海が叫ぶように言った。
目を見開いて彼氏に訴えかけるように強い目で見てる。

下唇を噛み締めて首を横に振る彼氏と、頼むから好きだって言わないでくれって必死に訴えかけるような夕海を見てると、まるで壮大な悲恋をテーマにした演劇でも見せられてるような気分になってくる。

ハナの作品、教室での惨劇を「演劇?」って言った彼氏に、お前らこそ作り物の恋愛劇だよって言ってやりたい。

「ねぇ…好きじゃないよね…?」

「好き…じゃない…夕海のことなんて…」

苦しそうに呟く彼氏の声なんてハナの耳には届かない。
彼氏が心から夕海を好きかどうかなんて正直どうでもよくて、夕海みたいなミーハーな女が本気でこの男に恋してるとも信じがたいけれど、誰の恋が本物で偽物かなんて、正直どうでも良かった。

何が本当でも嘘でも、ハナと夕海の絆が偽物だったことは変わらない。
最初から存在しない信頼や依存、愛着をハナが一人で勝手に信じていたかっただけだ。
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