スキナダケ
「おーまったせっ!遊ぼっか?」

ベッドに飛び乗るようにして、それから彼氏の体を強く壁に押し付けた。

抵抗しないからそのまま髪を掴んで顔を上げさせた。
そして、彼氏のくちびるに、夕海にしたみたいにハナのくちびるを重ねた。

一度離したら、目を見開いてハナを見てた。
ニッて笑って、キスを繰り返した。

乾いていない夕海の血液が、ハナのくちびるから彼氏のくちびるに移って、すごく発色のいいリップみたいに彼氏のくちびるを赤く染めた。

「どう?夕海の味」

耳元で囁く。
ハナの耳には彼氏の激しい息遣いだけが聴こえてくる。

振り向いたら夕海はちゃんと言いつけを守ってハナと彼氏を見てた。
顔は涙でグチャグチャで、夕海の顔だってハナがつけた夕海の血液で所々が赤い。

夕海の顔に綺麗に華が咲いた。
とてもとても、美しいと思った。

「もっとシよ」

「嫌だ。やめてくれ…」

「やめない。だってお前、夕海のこと好きなんでしょ?だから普通は知ることの出来ない夕海の味、おすそわけしてあげてるんだよ」

「要らないっ…そんなの要らない!」

「ふーん。じゃあ夕海のこと本当に好きじゃないのに軽く手出したんだ?最低だね?」

「違う!好きだ…僕は夕海が好きだ!好きってこういうことじゃないだろ!?」

彼氏のくちびるにもう一度キスをする。
深いキスを。
ハナの口内に残った夕海の味を全部移すみたいに。

「こういうことだよ」

「…」

「好きってこういうことだよ。夕海の全部を知りたい。全部が欲しい。お前は違うの?」
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