先輩とわたしの一週間
顔を洗い軽く口も濯いで目の前の鏡を見る。まだ顔の赤みは抜けないが、それでもかなり素面に戻ったと思う。そしてそのままトイレへ、と入った晴香は危うく叫びかけた。ここで、ようやく、体に纏わり付いていた異変に気付いたというか見せつけられたというか。
なんで、どうして、嘘でしょう!? と軽くパニックを起こす。こんな状態で葛城の前に出られるわけがない。しかしトイレに立て篭もった所で問題は何も解決しない。そうよそもそもこれは先輩が、となった所でボン、と顔から火が吹き出た。ぐおおおお、と地を這う様な低音が他でもない自分自身の口から漏れ出る。
死ぬ、羞恥で死ぬ、と悶絶することしばし――
覚悟を決めて晴香は籠城していたトイレから出た。
◇◇◇
「……お前なにやってんだ」
トイレから戻り明かりの点いたリビング、の端から寝室を覗き込む晴香に葛城は呆れた様子を見せる。しかしその顔が完全に面白がっている物であるのは暗がりの中でも明らかで、やはり我が身に起きている事は先輩が、と改めて認識した途端晴香の膝から力が抜けた。
ズルズルと壁を伝いながら両膝を付き、そのまま両腕も付いてついには叫びを上げる。
「先輩いいいいい!!」
「やっと気付いたか」
「ちょっと! あの! これは!!」
「トイレに行くまで気付かねえとかお前どんだけ」
「だって!」
「鈍いにもほどがあんだろ」
「だってまさかこれの下が全裸だなんて思わないじゃないですかーっ!!」
着ていたスーツを脱がされてTシャツ一枚。これだって充分羞恥心を煽ってくる。それでもまだなんとか、皺ができるからとか酒臭いから、などという理由で脱がされたのだと納得できないこともない。だが、身に付けていた下着が丸っと全部脱がされているのはどう考えたところで
「わけが分からないんですけど!?」
「いやわかんだろ普通」
「なんですか!? なんの普通ですか!? 先輩の普通とわたしの普通にとんでもなく広くて深い溝がありません!?」
「日吉」
「なんですか!」
「そのシャツな、俺が着てもでかいんだけど」
「はい!?」
「お前が着るとさらにでかいわけだ」
「そうですね!?」
「そんだけ差がある状態で、ンな格好してっとな」
「先輩回りくどい!」
「見えるぞ」
「なにが!」
「胸。あと後ろからだと尻も丸見えじゃね?」
「あああああああ!!」
なんで、どうして、嘘でしょう!? と軽くパニックを起こす。こんな状態で葛城の前に出られるわけがない。しかしトイレに立て篭もった所で問題は何も解決しない。そうよそもそもこれは先輩が、となった所でボン、と顔から火が吹き出た。ぐおおおお、と地を這う様な低音が他でもない自分自身の口から漏れ出る。
死ぬ、羞恥で死ぬ、と悶絶することしばし――
覚悟を決めて晴香は籠城していたトイレから出た。
◇◇◇
「……お前なにやってんだ」
トイレから戻り明かりの点いたリビング、の端から寝室を覗き込む晴香に葛城は呆れた様子を見せる。しかしその顔が完全に面白がっている物であるのは暗がりの中でも明らかで、やはり我が身に起きている事は先輩が、と改めて認識した途端晴香の膝から力が抜けた。
ズルズルと壁を伝いながら両膝を付き、そのまま両腕も付いてついには叫びを上げる。
「先輩いいいいい!!」
「やっと気付いたか」
「ちょっと! あの! これは!!」
「トイレに行くまで気付かねえとかお前どんだけ」
「だって!」
「鈍いにもほどがあんだろ」
「だってまさかこれの下が全裸だなんて思わないじゃないですかーっ!!」
着ていたスーツを脱がされてTシャツ一枚。これだって充分羞恥心を煽ってくる。それでもまだなんとか、皺ができるからとか酒臭いから、などという理由で脱がされたのだと納得できないこともない。だが、身に付けていた下着が丸っと全部脱がされているのはどう考えたところで
「わけが分からないんですけど!?」
「いやわかんだろ普通」
「なんですか!? なんの普通ですか!? 先輩の普通とわたしの普通にとんでもなく広くて深い溝がありません!?」
「日吉」
「なんですか!」
「そのシャツな、俺が着てもでかいんだけど」
「はい!?」
「お前が着るとさらにでかいわけだ」
「そうですね!?」
「そんだけ差がある状態で、ンな格好してっとな」
「先輩回りくどい!」
「見えるぞ」
「なにが!」
「胸。あと後ろからだと尻も丸見えじゃね?」
「あああああああ!!」