キミの恋のはじまりは
両想いって、恋人ってすごい。
今までだって近くにいたと思ったけど、気持ちが通じ合ってからの方が断然いろんな泉を知っていく。
その度に、好きが更新されていく。
好きの大きさに心の許容範囲が追いつかなくて苦しくなる時もあるけど、気が付いたらもっと想いが深くなっている。
胸がいっぱいで、泣いちゃいそうだよ………。
こんな気持ちくれるのは、泉だけだ………。
「ねぇ、泉」
「…………………………なに」
「今日ね、葉山さんに会ってたのは、智香さんにフォンダンショコラの作り方教わってたからなの。…泉にあげたくてね。ほら、私って食べる専門だから作ったことないし。でも、泉に手作したくて。こんなふうに思ったのは、初めてだよ?」
泉の髪に手を滑らせながら、もう片方の手の中にある箱に視線を流す。
箱の中には私の好きなチョコレート。
それはきっと去年よりももっと甘くてとろける、特別なものになる。
「私も泉に喜んで欲しいなって思ったんだよ。でも、ごめんね。ちゃんと言えばよかった」
肩に押し付けていた頭をゆっくりとあげた泉の頬がうっすらと赤く染まっていて、そこに指先で触れると恥ずかしそうにゆっくりと瞬きをした。
「………………なら、いい」
泉は頬にある私の指先を掴んで、あたたかさを確かめるようにさらに頬に寄せた。
「あまりうまく作れないかもだけど、いい?」
「いいもなにも。いいしかない」