キミの恋のはじまりは

……とはいえ、やっぱりまだ躊躇う自分もいる。



「……はぁ…」



思わず大きなため息をつくと、真由ちゃんと葉山さんが心配そうに顔を見合わせた。



「大丈夫?行けそう?」

「……うーん、なんか緊張して吐きそう……」

「莉世ちゃんが出ていけば、いろいろと解決すると思うんだけどねぇ~」

「……はぁ…」



泉に目を向けると、その背中越しに女の子達が見える。

顔を赤くして、一生懸命、泉に何かを伝えようとしている。

それを見れば、胸の真ん中が痛くて仕方がない。


誰かを好きな気持ち、いまは……わかる。


その人のこと考えるだけで幸せで、溶けそうで、ふわふわする。

目が合うだけで、どきどきして。

笑った顔も、困った顔も、拗ねた顔も……どんな表情も全部見ていたい。

誰にも渡したくなくて、自分だけのものにしたくて……。


切なくなる。苦しくなる。醜い自分が生まれて目を背けたくなる。


でも、その度に、泉は私をつかまえて抱きしめてくれた。


その熱い腕の中は、私だけの居場所であってほしい。これからもずっと。



―――――― 独り占めしたいし、……されたい。



怯んで潰れてしまいそうな気持ちを奮い立たせ、一歩踏み出した。


< 258 / 277 >

この作品をシェア

pagetop