キミの恋のはじまりは

制服のブレザーの裾をきゅっと掴むと、泉が驚いたように振り向いた。

私を認めると一瞬目を見開いて、息を詰める。

泉の前にいる女の子たちの視線も一気に私に注がれて、心臓がバクバクして目頭に熱がじんわりと湧き出てきそうだ。


喉にも熱い塊りが押し込まれたかのように、空気がうまく通らなくて苦しい。

はっ、となんとか短く息を通して、指先で摘んだブレザーにさらに力を込める。



「………い、ずみ」



何か言わなくちゃと思うのに、その名前を呼んだだけで心が震えて涙が滑り落ちそうになる。

もう言葉は出てこなくて、女の子たちの凝視するような不躾な視線を受け止めることもできない。


……なにしてるんだろう、私。


情けなくて、恥ずかしくて、居た堪れなくて。

結局、ぷるぷると首を横に振って、女の子たちの視線から逃れるように俯いた。


指先にある泉のブレザーの感触だけに縋って、身を縮こまらせた。

頭も心も全然思ったとおりにはなってくれなくて、全身が心臓になったんじゃないかってほど振動が走り回っているだけだ。

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