キミの恋のはじまりは
……彼女。
私……、彼女。
泉の発音でそれを聞くのは初めてかも。
……ほっぺ、熱いや…。
自分の頬を触れば、溜まった熱が篭っている。
恥ずかしいのに、嬉しくて、どきどきが止まらない。
さっき萎んだ気持ちがまた膨らんで胸がいっぱいになる。
少し早歩きの泉の背中を見上げる視界の端に、笑顔で手を振る真由ちゃんと葉山さんが見えた。
「あっちに、真由ちゃんと葉山さんがい、」
「………反則」
「あ、」
私の言葉を遮るいつもより重めの声が聞こえて、どきりと心臓が痛くなる。
呼びかけても、泉は振り向かず私の手を引きながら進んでいく。
……怒ってる?
涙が見えないように庇ってくれたけど…。
女の子たちにやばいって言われちゃったし……、いや、だったかな。
「泉、ごめ…っっ」
しゅんとしながら泉の背中に謝ろうとすれば、急に立ち止まるから距離が詰まってぶつかった。
くるりと振り返った泉の不満げな色をのせた瞳の奥が、困ったように揺れている。
「……あんなさ、一生懸命なかわいい顔すんの反則でしょ」
「え…」