キミの恋のはじまりは
「うわぁぁ!り、莉世?!」
キャパオーバーで息も絶え絶えにへばった私に、泉の慌てた声が落ちてきた。
泉の腕の中で完全にのびてしまった体を支えてくれて、さっきまでとは違うほっとするようなあたたかい熱で包んでくれる。
閉じたまぶたの向こう側から「うわっ!俺ハズッ!」「ごめっ!」「止まんなくて!」「ぶっ壊れたぁ!」「あああぁぁ!」と激しく動揺している声がした。
頬に落ちた涙を拭ってくれる指先は必死そのものだ。
「ごめんっ、ごめんね!やりすぎ!ほんとごめん!!」
……ほんとだよ。まってって何度もいったのに。
まだ酸素が足りなくてはぁはぁと大きく呼吸しながら、ぼんやりとした頭の中で悪態をつく。
私を逃がさないようにきつく腰に回されていた手は、いまは心配そうに背中を撫でてくれる。
心地よいリズムを刻むように、優しく触れてくる手に少し呼吸が楽になってきた。
焦りながら何度も謝る泉は、さっきよりもよっぽど余裕のない声音をしている。
……もっと深く触れ合ってる時の方が余裕そうって、どういうことよ……。
私ばっかりいっぱいいっぱいになって、こんな上気しちゃってて。
体中を駆け巡る痛いほどの熱に戸惑って、自分が自分じゃないみたいで恥ずかしくて、どうしていいかわかんなくて。
たくさん新鮮な酸素を吸い込んでいるのに、ちっとも息が整わないし、体の火照りがまだ取れない。
溶かされていくことがこわくて、気づかぬうちに力の入っていた全身が重くて、瞼が持ち上がらない。
……泉、ずるい。
……全部、泉のせい。
でも。
こうして泉の腕の中にいるのはやっぱり幸せで、ずっとこのままでいたいと思ってしまう。