純愛カタルシス💞純愛クライシス
それを確かめようと、もう一口飲んでみたものの、味は変わらない感じだった。寝不足のせいで味覚がちょっと変になっているのかもと思い直し、堀田課長が注文してくれた焼き鳥に手を伸ばす。
「小野寺さんは我慢強いんだね。それに比べて僕は本当に弱い。なにかあったら、小野寺さんに愚痴ってしまう」
「……我慢強いなんて、そんなことないです」
口の中の鶏肉を咀嚼してから、しっかり否定する言葉を告げた。
「それはどんな文句でも聞いてくれる、イケメンの彼氏がいるからかな?」
このタイミングで学くんのことを言われてしまうと、微妙な気分になる。
「アハハ、どうでしょう……」
「今日は一日どこか変だったね。彼氏となにかあったんじゃない? 僕に愚痴ってもいいんだよ?」
「堀田課長しつこいですね。最初に言いましたよ、大丈夫ですって」
どうにも間が持たず、ビールをふたたび口にして、鞄の上に置いたスマホに視線を注いだ。電源を落としているので当然画面は真っ暗なのに、学くんからなんらかのアクセスがありそうな気がして、思わず手に取る。
「実は小野寺さんに愚痴を聞いてもらったおかげで、僕も妻に離婚の話をすることができてね」
それは電源を入れる瞬間に告げられた。
「奥様の気持ちが堀田課長にないことを、離婚の理由にした感じですか?」
「それもなんだけどね……」
低い声で告げてから、喉の奥でくくっと笑う。なにがおかしいのかわからないので、小首を傾げたときに、目の前の景色がくらりと揺らめいた。眩暈にも似たそれに驚き、頭を揺らさないように元に戻す。
「僕、妻に言ったんだ。好きな人ができたって」
頭を揺らさないようにしてるのに、ふわふわした感じが体に伝わり、まるで全身をアルコールに浸されて、酔っぱらってるみたいな状態になった。変な酔い方がどうにも気持ち悪くて、口元に手を当てながらスマホを見ると、すでに起動が終わっていて、LINEの着信表示があった。
『今からそっちに行く』
震える手でスマホをカバンにしまい、額に滲む汗をハンカチで拭う。
(学くんがここに来るまでに、なんとかして時間を稼がなきゃ……)
頭ではそう思っているのに、まぶたが次第に重くなり勝手に閉じてしまう。だけど太ももを抓って、無理やり意識を取り戻した。
「小野寺さんの必死な姿、本当にかわいいって思うよ」
「堀田課長、いったいなに、を……ぃ」
意識を取り戻す傍から、眠りの精が私の視界に真っ白な魔法をかける。昨日しっかり寝れなかったことも相まって、気がついたらテーブルの上に突っ伏してしまった。
「綺麗な眠り姫を、ベッドまで連れて行ってあげないといけないね」
堀田課長の声が耳に届いているのに、抵抗する言葉はおろか、重たいまぶたを動かすことができない私は、そのままどこかに連れられてしまったのだった。
「小野寺さんは我慢強いんだね。それに比べて僕は本当に弱い。なにかあったら、小野寺さんに愚痴ってしまう」
「……我慢強いなんて、そんなことないです」
口の中の鶏肉を咀嚼してから、しっかり否定する言葉を告げた。
「それはどんな文句でも聞いてくれる、イケメンの彼氏がいるからかな?」
このタイミングで学くんのことを言われてしまうと、微妙な気分になる。
「アハハ、どうでしょう……」
「今日は一日どこか変だったね。彼氏となにかあったんじゃない? 僕に愚痴ってもいいんだよ?」
「堀田課長しつこいですね。最初に言いましたよ、大丈夫ですって」
どうにも間が持たず、ビールをふたたび口にして、鞄の上に置いたスマホに視線を注いだ。電源を落としているので当然画面は真っ暗なのに、学くんからなんらかのアクセスがありそうな気がして、思わず手に取る。
「実は小野寺さんに愚痴を聞いてもらったおかげで、僕も妻に離婚の話をすることができてね」
それは電源を入れる瞬間に告げられた。
「奥様の気持ちが堀田課長にないことを、離婚の理由にした感じですか?」
「それもなんだけどね……」
低い声で告げてから、喉の奥でくくっと笑う。なにがおかしいのかわからないので、小首を傾げたときに、目の前の景色がくらりと揺らめいた。眩暈にも似たそれに驚き、頭を揺らさないように元に戻す。
「僕、妻に言ったんだ。好きな人ができたって」
頭を揺らさないようにしてるのに、ふわふわした感じが体に伝わり、まるで全身をアルコールに浸されて、酔っぱらってるみたいな状態になった。変な酔い方がどうにも気持ち悪くて、口元に手を当てながらスマホを見ると、すでに起動が終わっていて、LINEの着信表示があった。
『今からそっちに行く』
震える手でスマホをカバンにしまい、額に滲む汗をハンカチで拭う。
(学くんがここに来るまでに、なんとかして時間を稼がなきゃ……)
頭ではそう思っているのに、まぶたが次第に重くなり勝手に閉じてしまう。だけど太ももを抓って、無理やり意識を取り戻した。
「小野寺さんの必死な姿、本当にかわいいって思うよ」
「堀田課長、いったいなに、を……ぃ」
意識を取り戻す傍から、眠りの精が私の視界に真っ白な魔法をかける。昨日しっかり寝れなかったことも相まって、気がついたらテーブルの上に突っ伏してしまった。
「綺麗な眠り姫を、ベッドまで連れて行ってあげないといけないね」
堀田課長の声が耳に届いているのに、抵抗する言葉はおろか、重たいまぶたを動かすことができない私は、そのままどこかに連れられてしまったのだった。