能ある彼女は敏腕社長に捕獲される
『好きな人ができたので出て行きます

後は弁護士さんを通してください』

法律事務所の電話番号と弁護士の携帯電話の番号がその下に書いてあった。

母は仕事人間の父にもう愛想が尽きていたのだ。

好きな人を作ると、その人と一緒に暮らすために離婚の準備を進めて、父に突き出した。

父は母がそんなことをするとは夢にも思ってなかったのだろう。

私はそんな父に声をかけることができなかった…いや、しなかったと言った方が正しいかも知れない。

専業主婦の母から思わぬ報復をされた仕事人間の父に私は同情することができなかった。

冷たい人間だと言われたらそれまでだが、心のどこかで兄と同じく両親との関係に見切りをつけていたのかも知れない。
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