能ある彼女は敏腕社長に捕獲される
リビングを出て自室に入った私は兄に連絡をしていた。

高校を卒業した兄は地元に帰ることなく、そのまま大学に進学していた。

「もしもし?」

「兄ちゃん?

私、紀香だけど」

私は電話に出た兄に向かって、先ほど起こった出来事を話した。

「…まあ、当然の報いだと言えばそうなんだろうな」

話を聞いた兄はそう言って、やれやれと言うように息を吐いた。

「あいつは今の今まで自分の家族に目を向けることなく、仕事に全部打ち込んできた。

何がおもしろかったのかはよくわからなかったけど、その結果がこれなんだ」

そう言っている兄に耳を傾けることしかできなかった。

「ある意味、自業自得としか言えない」

「…そうだね」

兄の中では父ーーと言うよりも、自分と私以外の家族ーーは、もうどうでもいいと思っているのだろう。

そんな兄に対して、私は返事をすることしかできなかった。
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