能ある彼女は敏腕社長に捕獲される
その翌日から、父は無気力になった。

ソファーに座ってぼんやりと空を見つめている父に、私はどうすることもできなかった。

父と一言も会話を交わすーー今さら交わす会話もないけれどーーなんて言うことは特になく、私は大学進学を機に家を出たのだった。

それ以降は実家に帰っていないし、父もどうなったのかは私も兄も知らない。

生きているのか死んでいるのかもわからないと言う状況だ。

大学を卒業すると、医療機器メーカー『三柳株式会社』の営業部に就職した。

同期たちが熱心に仕事をしている中で、私は自分のペースで仕事をしていた。

やる気がないだの関心がないだのと周りからいろいろと陰口をたたかれたが、その月のノルマを淡々とこなす私にあわせるように陰口はだんだんと減った。
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