ダブルブルー
「懐かしいねぇ」


ふたりで腰を降ろしたベンチ。


隣からは、穏やかな声が響いている。



あの日と違うのは、ベンチに座る私たちの距離と、青さんのコートのポケットに入りっぱなしになっている、繋がったままの右手と左手。


慈しむように、絶えず触れている、てのひらの温度。



見上げたら、帽子の隙間から優しい目尻が私を見ている。



その瞳の色に捕まったらもう、逃げられないことを知っている。





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