秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
インターホンを鳴らし、ドアの前で待つ。


カチャッと静かにドアが開き、桜の横顔が見えた。


「さく・・ら・・?」


2週間ぶりに見た桜は、目元が真っ赤だった。


「直生・・」


俺を呼び、桜が抱きついてきた。
肩がひと回り小さくなった気がする。


「桜」


名前を呼ぶと、俺に抱きつく桜の腕にぎゅっと力がこもった。


「桜、辛いか?」


そう聞くと、一度だけ小さく頷いた。


「話を、聞こうか? それとも、気が済むまでこうしてる?」

「・・直生」

「うん」

「・・私を、抱いてくれる?」

「えっ」


予想外の依頼に戸惑っている俺を見て、桜が言った。


「直生に、触れていたいの」


かなり泣いたんだろうか。

目元が赤いだけじゃなく、メイクもすっかり落ちていた。

そんな桜の目元に、俺は唇で触れた。


何度か目元に、そして唇に近づく。

薄く開いた唇を覆いながら、俺は桜を抱き上げた。


ハッとして桜が唇を離し、俯いた。


「ごめん・・約束、守れなくて」


軽くなった自分を責めているんだろう。
別れ際にした約束のことを、思い出して。


『俺がいなくても、ちゃんとメシ食ってください』

『約束ですよ。抱き心地が悪くなったら困るんで』


またふたりで食事する未来を作るのは、俺の役目だ。

もう少し・・先だけれど。
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