秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
「・・え?」

「待っててくれる?」

「・・いい・・の?」

「必ず、桜のところに帰ってくるから」


まだ腫れの残っている目元に、新しい涙が浮かぶ。


「・・泣くなよ」

「そんなの・・無理だって・・」


俺は桜を抱き締めて、耳元で囁いた。




「愛してるよ、桜」




自分でも、矛盾していることは分かっている。

俺は桜に『別れてほしい』と言ったのだ。


それなのに、帰ってくるとか、愛してるとか、言っていることが無茶苦茶だ。


「桜、俺が帰ってくるまで、もう少しだけ耐えられるか?」

「え? それは、会社のこと?」

「会社のことも、あいつのこともだ」

「・・藤澤?」

「桜は絶対に渡さない」


そう言い切った俺に、桜は驚いた顔をした。


「直生、少し会わないうちに、なんだか変わった?」

「え? どこが?」

「どこが・・っていうか、私の知らない直生がいるような感じ。
『絶対に渡さない』とか、独占欲むき出しキャラじゃなかったよね」

「それは・・桜は従順な秘書キャラが良かったってこと?」


そう言うと、桜が頬を赤らめながら首を左右に振った。


「そうじゃない・・『愛してる』とか『渡さない』とか言われて、ドキドキしてる」


それなら・・と、俺は桜にもう一度伝えた。


「桜は誰にも渡さない。誰よりも、俺が桜を愛してる」
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