秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
実家に帰ると、西川が玄関先で俺を待っていた。


「専務、いったいどこにいってたんですか!」

「悪かったよ、オトナの事情ってヤツだ」

「女性ですか・・。なんだかオフの専務って雰囲気違いますね」

「ん? そうか?」

「何というか・・男のフェロモンがダダ漏れしてます」

「何だそれ? おかしなこと言うヤツだな」


そういえば、桜もさっきそんなことを言ってたな・・。

少し前まで抱き合っていた桜を思い出し、顔がニヤついた。


「専務、顔が緩んでます。専務をそんなふうにするなんて、よっぽど魅力的な女性なんですね・・。
それより・・あまり時間が無いです。急ぎ目でお願いします」

「はいはい、ちょっと待っててくれ」


スーツケースを出し、必要最低限のものを詰め込む。

最後に、桜から預かった前社長の形見の品を入れ、スーツケースを閉じた。

向こうで懇意にしていた知人がいるから、もし近くまで行くことがあるなら、それを渡してきてほしい・・と。


「よし・・行くか」


玄関にスーツケースを運んでいると、ちょうど親父が帰ってきた。


「あ、お帰り」

「直生、今夜行くのか?」

「ああ、22時過ぎの便で」

「そうか。少しだけ時間あるか? 話したいことがあるんだが」


そう言われて、俺は腕時計で時間を気にしている西川に呼びかけた。


「西川、あと10分だけ待ってくれ。会長と大事な話がある」
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