秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
「話って?」

「うん・・桜ちゃんのことなんだが」


親父が言うには、桜は親父が前社長の友人だということ以外は、何も知らないのだという。

商社の会長であるとか、そもそも会社名すら明かしていないと。

だから、今回の俺のプランの準備が整って、いよいよ桜に話すタイミングになった時は、その辺りの背景もちゃんと話してやる必要がある・・と。


確かに、迂闊に進めると、逆に桜を混乱させることになる。

藤澤や、藤澤と懇意にしている企業のように不信感を抱かせる可能性もある。

つまり・・この俺が藤澤たちを追い落として、桜の会社を乗っ取るような形になるということだ。


「分かった。折を見て俺から伝えるよ」

「そうだな、大事にしてやれ。
桜ちゃんが直生の嫁さんになってくれるなら、俺は大歓迎なんだがなー」

「・・そうなるように頑張るよ」


頼んだぞ、と背中を押されて俺は車に乗り込んだ。


「専務、少しスピード出しますよ」

「ああ、頼むよ西川。捕まらない程度にな」


車窓から外を眺めながら、まずは南米での契約を成立させることに集中しようと決めた。

藤澤たちを失脚させても、桜の会社が力をつけなければ、また同じことが起こるだろうから。
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