秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
俺と西川は、ひとまずドバイへ向けて出発した。直行便が無く、ドバイで乗り換えて現地に向かうのだ。


「私までビジネスクラスを用意していただいて、恐縮です・・」

「先は長いからな、ちゃんと寝ろよ」


俺は、昨晩から昼にかけて桜と過ごしていて、一睡もしていないのが幸いだった。

寝不足と、桜と抱き合った程よい疲労が重なって、あっという間に睡魔に襲われた。


ドバイまでは11時間弱で、半分くらい寝ていただろうか・・乗り換えの時間を過ごして、再度飛行機に乗りサンパウロに向かう。

ビジネスクラスを利用したとはいえ、さすがに長距離で身体にこたえた。


「やっと着いたな」

「はい・・よく地球の裏側なんて言いますけど、本当に遠いんですね」

「ところで、迎えは来てるか?」

「はい。到着ロビーに出たところで待っていると連絡が入っています。まずはホテルに向かいましょう」

「まだ17時だぞ、1箇所くらい観光しないか?」


そう言った俺に、西川の表情が曇った。


「専務・・おひとりでもいいですか? ご一緒する元気は無いです・・」

「そうだったのか、無理するなよ。じゃあ、後で」


スーツケースだけ西川に預け、俺は桜から預かった前社長の形見を持ち、リベルダージという日本人街に向かった。

伝え聞いた地図と尋ね人の名前を告げると、目的の人物は幸いすぐに見つかり、預かった品を渡すことができた。

俺はその中身を知ることは無かったが、無事に役目を果たすことができて、肩の荷が降りた。
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