秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
翌朝、暗い顔をした部下がホテルの俺の部屋を尋ねてきた。


「どういうことだ・・?」


いざ契約という段階になり、相手が難色を示したのだという。


「上手く話が進んでいたんじゃないのか?」

「それが・・その・・」


詳しく話を聞くと、少し強引な条件をつけて交渉を進めたため、土壇場になって契約を考え直したいと申し出があったそうだ。


「申し訳ありません・・専務」

「いや、任せきりの俺も悪かった。何か方法を考えよう。ここまで来て、ただ帰るわけにはいかない・・」


桜の顔が浮かぶ。

このまま帰っては、何のために桜に悲しい想いをさせているのか分からない。


「くっ・・」


どうする・・。

いや、どうするも何も、元はと言えばこちらの不誠実さが原因だ。


「西川、先方の社長にアポを取ってくれ。担当者ではダメだ。分かるな?」

「はい、すぐ手配します」


俺は急いで契約書の内容を再確認し、条件の見直しを指示した。


「専務、先方に連絡してみましたが、外出されているようで戻りの時間が未定とのことです」

「それなら、何時まででも待つから今すぐ出よう。契約書は車の中で最終形を整える。
俺と西川、交渉の責任者以外はここに残って待機してくれ。上手く事が運んだら、すぐにやることがある」


先方のオフィス近くで、半日が過ぎた。
特に連絡も無く、なかなか戻ってくる気配は無かった。
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