秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
「桜・・」

「待ってるわ、直生。じゃあね」


そう言って、桜は電話を切った。


何なんだよ、本当に・・。

桜の強さと優しさに、胸をぐっとつかまれた気がした。


『信じる』と言葉にするのは簡単だけれど。

それをどこまで継続できるかは、その人次第だ。


車を飛ばして会いに行けるような距離なら、今すぐに、寝ずに運転してでも会いに行くのに。

いや、待てよ・・。


俺はサンパウロから成田までの時刻表を調べて、西川に電話した。


「専務、どうされました?」

「悪い、西川。俺、今夜帰るよ。21時50分発・・アメリカ経由で」

「えっ、ええっ?」

「チケットは手配した。西川は予定通り帰ってこい」

「専務・・もしかして、あの女性のところに?」

「ああ、1秒でも早く帰りたいんだ」

「分かりました。専務にそこまで思わせる女性・・一度、お目にかかりたいです」

「・・考えておくよ。じゃあ、また東京で」

「はい。専務もお気をつけて」


俺は急いで帰り支度をし、グアルーリョス国際空港に向かった。


途中、アメリカのヒューストンで乗り継ぎを待つ間、もう一度桜に電話をした。


「桜」

「直生どうしたの? 何かあった?」

「桜、明日の午後、成田まで来ないか?」

「明日の午後? 直生が帰ってくるのは、明後日じゃないの?」


驚く桜に、気持ちをストレートに伝えた。


「桜に早く会いたくて、1日早めたんだ。秘書はブラジルに置いて、ひとりで帰ってきたよ」
< 65 / 117 >

この作品をシェア

pagetop