秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
「でも、桜ちゃんはそいつと結婚する気はないんだろ?」

「ないと思う。ただ、状況が許さないってこともあるだろ」

「会社のために我慢するってことか・・でも、直生がいろいろ動いてるじゃないか。諦めるなよ」

「どうして・・」


俺は我慢できなくなって、泣いた。


「どうして諦めろって言わないんだ・・兄貴も、桜も」

「そんなの・・」


そう言って、兄貴はグラスの酒を飲み干した。


「直生が好きだからに決まってるだろう」

「・・・・っ、ぅっ・・」

「俺も、親父も、おそらく桜ちゃんも。直生が大好きなんだよ」

「桜・・も?」

「おそらくな。お前が『別れてほしい』って言った時も、そのまま受け入れたんだろう?」


俺は、ただ頷いた。


「そんなの、普通なら耐えられない。でも受け入れた。本当に愛してないと、そんなことできないからな」


羨ましいよ・・と兄貴は言った。


その時。
テーブルの上に置いていた俺のスマートフォンが震えた。


「あ・・」

「ほら、早く出てやれよ。直生も待ってたんだろう?」


俺は、少し震える手で電話に出た。


「な・・お?」

「桜・・」

「・・ごめん・・・・行けな・・くて・・っ」


桜の嗚咽が聞こえる。


「桜、いまひとりなのか?」

「うん・・面会時間、終わったから。直生が、来てたって、藤澤に聞いて・・」


「会いに・・行きたかった・・」


そう言って、桜は電話の向こうで泣き崩れた。
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