秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
桜は、過労で倒れたと言った。

自分も会社も傾かないように、頑張り過ぎてしまったと。

タイミングの悪いことに、たまたま藤澤が会社に訪ねてきた時に倒れてしまったらしい。


「・・ごめんね、直生」

「桜は、何も悪くないだろう? 良かったじゃないか、ひとりの時じゃなくて」

「そうかもしれないけど・・。直生が、嫌な気持ちになったかな・・って」


ふぅ、と俺は小さくため息をついた。


「桜、俺のことはいいから、自分の心配しないと。どうせまた、メシ食ってないんだろ?」

「・・ご飯は食べてた」

「ん? そうなのか?」

「だって、痩せたら抱き心地が悪くなるって・・言ったじゃない・・」


『抱き心地』なんて苦し紛れに言ったつもりだったのに、それを受け止めてくれたなら良かった。

きっと回復も早いはずだ。


「それはいい心掛け。メシじゃないなら・・寝てないな? 寝ずに昔の書類読んでたのか」

「直生は・・私のことよく分かってるのね」

「誰よりも桜を愛してるって言ったろ?」


そういうのサラッと言わないで、と桜は笑った。

それでいい、桜には笑っていてほしい。


「直生と一緒なら、よく寝れるのにな・・」


桜がつぶやいた。
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