秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
「さぁ、行こうか。山脇社長」


俺は桜のバッグを持って、ふたりでエントランスに出た。


「専務、お待たせしました」

「え? 専務?」

「急に呼び出して悪いな、西川」

「いえ」


西川が迎えに来てくれた車の右後部座席に桜を乗せ、俺は左の後部座席に乗る。


「専務、どちらへ向かいましょうか」

「そうだな・・ここに行ってもらえるか?」


俺は西川に店を指示し、そこへ向かわせた。

桜は、西川がいるからかずっと黙っている。


「専務、着きました。終わりましたら、ご連絡ください」

「30分もあれば、終わると思うから」

「はい。承知しました」


桜を伴って店の中へ入ると、顔見知りのスタッフが声をかけてきた。


「専務、お久しぶりです。相変わらず素敵ですわ。本日はどのようなご用件でしょうか」

「ご無沙汰しております。こちらの山脇社長を引き立てる、ビジネススーツと靴を何セットかお願いできますか?
新しい取引先との商談があるので、よろしくお願いします」

「はい、お任せください!」


何が何だか分からないといった表情の桜に、俺はひと言だけ声をかけた。


「俺を信じて」


スタッフと共にフィッティングルームに向かった桜を横目に、俺は藤澤に電話をかける。


「藤澤ですが」

「山脇の秘書の服部です」

「・・お前・・よくも・・自分が何をしたか分かってるんだろうな?」


俺のやったこと・・桜を連れ去ったとでも?

だいぶ苛立っているようだが、そんなことはどうでもいい。


「明日・・10時から30分ほどお時間をいただけないでしょうか。今回のことも含めてお話を」

「いいだろう・・山脇も同席なら言い訳ぐらいは聞いてやってもいい」

「承知しました。・・では、明日」


『自分が何をしたか分かってるんだろうな』か。


それは俺のセリフだ。
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