秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
「桜と一緒だと、俺も霞むよ」


ふたりで廊下を歩きながら話しかけると、桜は苦笑いの表情を俺に向けた。


「それは私のセリフよ。女性社員はみんな服部専務を見てるじゃない。まぁ・・分からなくもないけど」

「え?」

「だって・・その専務スタイル、カッコ良すぎよ」


そう言って、ふいっと顔を背ける。


「そうか?」

「秘書の時とは、存在感が全然違う。
私、もう彼女じゃないから、他の誰かがいつかあなたの隣を歩くのよね・・」


俺は立ち止まり、桜の腕をつかんだ。


「それ、本気で言ってる?」

「えっ」

「本気で、言ってる?」

「・・『専務』のそばにいる自信なんて無い。
私、コンサルだったし、一応経営者だから人を見る目は多少ある。
今の直生なら、もっと相応しい人がいる」


俺は桜の手を引いて、すぐ横にある応接室に入った。


「俺は桜しか見てない。『秘書』でも『専務』でも、俺は俺だ。特にこの1ヶ月は、桜のためにしか生きてない」

「直生・・」

「俺に誰が相応しいかなんて、どうだっていい。俺が、桜に必要とされるかしか興味がない」

「そんなの・・」


桜は、俺の腕をつかんだ。


「私だって、直生しか見てない・・」

「だったら・・俺の隣は、いつだって桜だよ。他の誰かがいるなんて考えてもいないから」


桜の表情が、少し和らいだ気がした。
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