秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
この提携先は、そもそも前社長に取引の拡大を申し出ていた。

しかし前社長は、取扱う物品は気に入っていたものの、経営者としての怠慢な資質を見抜いていて、拡大については首を縦に振らなかったらしい。

当然、社長が桜に代わった後にも働き掛けはあったのだが、桜も受け入れることは無かった。


「この提携先には覚えがあるわ。でも今回、うちの関係各社に圧力を掛けているのがどこの企業か分からなくて、気づかなかった・・」

「それは仕方がないんじゃないか? 直接アプローチしてきたのは、藤澤だけだったんだろう?」

「そうなのよ。あとはただ、何社か今後の契約を見直したいという連絡があっただけで」

「銀行も含め、この提携先が流した噂を信じたんだな。このご時世、どこも経営が厳しいからネガティブ要素は排除したいところだ」


この提携先は、噂話で山脇物産を揺さぶりつつ、それだけでは不十分だと判断して、桜自身にも圧力を掛けてきたのだ。


「まさか藤澤がこの社長の息子だったなんて・・。社長も『藤澤』という姓なら少しは不審に感じたかもしれないけれど、『藤澤』はこの社長と離婚した奥様の姓だったのね」
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