秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
疲れたんだろう。
帰りの車の中で、桜は眠ってしまった。


『直生と一緒なら、よく寝れるのにな・・』


そう言ってたな。


桜を自宅に連れて帰り、起こさないようにベッドに運ぶ。


「ん・・なぉ・・?」

「まだ寝てていい。後で呼びに来るよ」


眠った桜を見届けて、ベッドから離れようとすると、ジャケットの裾を桜がつかんでいた。


もう、どこにも行かないのに・・。


そう思ったものの、俺もまだ時差ボケが抜けきっていないのか、眠くなってきた。

桜の横に寝転がり、ぼんやりとこの先のことを考える。


明日、藤澤には何をどう伝えようか。
藤澤の父親の会社には、どういう対処をしようか。
銀行にはどう伝えるのがいいだろうか・・。


でもその前に、だ。

俺は何の立場で、これから山脇物産に関わるんだ?


いま俺が考えていたようなことは、本来は社長である桜が決めることであり、俺が口を出すことじゃない。

『秘書』だとしても、提携先の『専務』だとしても。


ただ桜のためにと考えて過ごした1ヶ月を経て、俺自身がこの先どうすればいいかが、分からなくなっていた。


「どうしたもんかな・・」


俺の隣で、穏やかに眠っている桜の寝顔だけが救いだった。

俺のことは、どうとでもなる。


そう自分に言い聞かせて、俺も眠った。
< 90 / 117 >

この作品をシェア

pagetop