俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
 
「あ、戻ってきた。おーい、まだ食ってねぇから早く来い」

 食堂に戻ると、中ほどのテーブル席で石狩さんが手を上げて私を呼んだ。信濃さんも微笑んで軽く手を振る。

 私の冷やし中華を食べないで取っておいてくれたらしい。

 麺は伸びているだろうけれど、何も食べずに午後の作業にあたるわけにはいかないので急いで席に着く。

「いただきます」と両手を合わせてからずずっと麺を啜ると、隣でお茶を飲んでいた信濃さんが私の顔を覗き込む。

「元気がありませんね。悪いお姉さんにいじめられましたか?」
「いじめられたと言うか……現実を突き付けられたと言うか」

 曖昧に微笑んで、また冷やし中華の麺を吸い込む。

 高城さんの言い方は色々乱暴な部分もあったけれど、鷹矢さんに私が相応しくないという部分だけは、自分でも事実だと思った。

 彼が気まぐれで私を相手にしている可能性も、完全に否定できない。

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