俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
最上さんが見かねたように私の頭をポンと叩き、それから乱暴に撫でて髪をわしゃわしゃと散らした。
「だったら、わざわざつらい思いをしてまで王子のそばにいなくていい。幸いお前には、夢中になれる仕事があるだろ? 死ぬほど資格とって、王子を見返してやれよ。いい女を逃したって、思い知らせてやるんだ」
それがいいのかもしれない。私にはやっぱり、マニュアルのない恋愛は難しすぎた。
近いうちに機長になるであろう鷹矢さんに負けないくらい資格を取って、仕事の上で対等に話せるようになるだけでも、きっと自分に自信がつく。それでいいじゃない。
そう自分に言い聞かせている途中、私はふと大切なことを思い出した。
「そうだ! 最上さん! やりました、私!」
手のひらで無造作に涙を拭った私は、傍らに置いていたリュックを漁る。そして中から届いたばかりの封筒を取り出すと、合格通知を開いて最上さんの目の前にずいっと掲げた。
「ええと……? おお! 四つとも合格か! すごいぞ涼野!」
「はい! この勢いで実地も頑張ります!」
力強く宣言すると、最上さんが乾杯を求めるようにコーヒーの缶を持ち上げる。