俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない

「対処療法になりますので、炎症を抑える薬の服用、あとは安静にしていただくことですね。貯留液の量がそれほど多くないので、一週間はご自宅でお薬を飲んでいただき様子を見ましょう。残念ながら薬の効きが悪いとなったら、入院の可能性もあります。治るまでの期間は人によりますが……長くても三週間というところでしょうか」

 蓮田医師の説明に、ホッと胸を撫で下ろす。

 炎症の場所が心臓となると、手術などの大掛かりな治療が必要なのではと少し覚悟したが、投薬と数週間の安静で済むらしい。

「それを聞いて安心しました。私、職業が旅客機のパイロットなもので、あまり長く現場から離れると勘が鈍ってしまいますし――」

 話しているうちに蓮田医師の顔色が変わり、眼鏡を上にずらして俺の提出していた問診票をジッと眺める。

「パイロット……すみません、ここにもそう書いてくださっていましたね。となると、お仕事への復帰には少々時間がかかるかもしれません」
「えっ?」

 聞き返すと、蓮田医師が苦虫を噛み潰したような顔になる。

 安堵していたはずの胸に、不穏な影が広がった。

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