俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない

 光里は救急車にも付き添ったのだ。俺が寝ている間に妻として病状の説明を受けただろうし、もうなにもかも知っているに違いない。

 そう確信していても、問いかける時に彼女の目を見ることはできなかった。

 光里は俺の体にかかる布団にそっと触れ、少し声のトーンを落として言う。

「聞きました。心膜炎……って。でも、鷹矢さんくらいの状態で発作が出るのはまれだそうなので、入院して色々検査をしましょうって先生が」

 入院、か……。結局、最短で体を治すことも叶わないらしい。

 俺は一気に投げやりな気分になり、ふっと自嘲した。

「お前がカッコいいと言ってくれるパイロットは、俺の中からいなくなってしまったな」
「えっ?」

 光里が微妙に眉根を寄せ、小首を傾げる。俺は小さく深呼吸をして口を開いた。

「昨日、お前のところに行く前に会社と話をして、心膜炎の治癒後も二カ月は地上勤務をするよう指示があった。それから再訓練を経て、最後の技量審査にパスしなければ、パイロットとして復帰はできない。今までどんなに優秀なキャリアを積み上げてきても、技量審査の評価には関係ないんだ。……あたり前のことだけど、結構堪えたよ」

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