俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
「やるなーお前のダンナ。あの落ち着き払ったランディング、しびれたぜ」
「今頃、本人もホッとしてるだろうよ。……無事にお前のもとに帰ってこれてな」
「うう……っ、これ以上、泣かせないでください……っ」
目線の先では乗客たちが降機を始めたようだが、ただちに救急車に運ばれていくような人は見当たらない。
鷹矢さんが、みんなを守ったんだ――。
復帰初日というプレッシャーがあったのはもちろん、機長の急病というイレギュラーにも動じず、無事に羽田に戻ってきた彼を、私は改めて深く尊敬した。
すぐにでも顔を見て無事を喜びたかったけれど、重大なトラブルの対処をした彼がすぐに自由になれるはずもない。
羽田から那覇へ発つ前の機体を整備した私や最上さんも事故調査委員からの聞き取りを受け、ようやく帰れることになったのは十九時を過ぎた頃だった。
トラブルを起こしたのが比較的新しい機体であるため、整備不良というより製造時の問題ではないかと、メーカー側にも詳しく話を聞いているらしい。
納品前試験はきちんと行われていたはずだが、それでも人のやることに絶対はない。