俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない

 「芸能人じゃないんだから……」

 鷹矢さんの映像が流れる午後の情報番組をぼんやり眺めながら、思わずため息がこぼれた。

 いつ撮影されたものか不明だが、空港で記者に直撃取材を受ける鷹矢さんは、時間がない中でも真摯に対応している。

 現在、鷹矢さんはニューヨークステイ中で不在。その寂しさもあってか、テレビに映る彼になんとなく恨めし気な視線を送ってしまう。

「さて、そろそろ行かなきゃ」

 今日の私は遅番。手に持っていたマグカップのコーヒーの残りをぐっと飲み干し、リモコンでテレビを消そうとしたその時だ。

『過酷なパイロットのお仕事を続けていられる力の源、原動力のようなものがあったら教えてください』

 若い女性キャスターが、鷹矢さんにうっとり見とれながらマイクを向ける。

 彼は少し考えた後、凛とした眼差しで告げた。

『機長になりたいという、子どもの頃から変わらない夢。そして、整備士の妻の存在が大きいですね。仕事で張り詰めていた緊張が、家に帰ればふっと解ける。妻は、飛行機だけでなく僕のメンテも得意なんです』

 最後に極上の笑みを添えてキャスターに挨拶を告げると、彼はフライトバッグを転がし仕事に戻っていく。

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