俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
俺はヘルメットを借り、巨大な機体の周囲に足場を組んで作業に当たる整備士たちを横目にフラフラ辺りの様子を窺う。
すると、移動式の階段の陰で誰かと話し込む涼野を見つけた。
腕組みをして涼野の前に立つのは、ワインバーで彼女の隣にいた、ベテラン整備士の最上さんだ。
見た目は完全なるオッサンだが、整備の腕は一流。涼野の仕事をチェックしているのも大体が責任者の彼だ。
常に大きな音が響いている格納庫なので声は聞こえないが、ふたりの顔は真剣。俺の存在は仕事の邪魔でしかないと今さらのように気づいて、そそくさと踵を返す。
そもそも彼女のシフトを知らないのに、格納庫まで来るなんて、よく考えればやりすぎだ。
連絡先は知っているんだから帰ってから電話すればよかったのに、考えるより先に足が向いてしまった。
「深澄さん?」
人知れず気まずくなり出入り口に向かっていた途中で、彼女に呼び止められた。
振り向くと、少し離れた場所にいた涼野が小走りで近づいてくる。
「どうしたんですか? なんで格納庫に?」