俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない

 小首を傾げてキョトンとする姿は、まるで小動物のよう。二日ぶりに会うのもあって愛おしさが爆発しそうになるが、仕事中の彼女を煩わせるわけにはいかない。

「別になんでもない。仕事の邪魔になるだろうから、もう帰る。ロス帰りで眠いんだ」
「あっ、だったら一緒に帰りませんか? 私も夜勤明けで、さっき仕事終わったところなんです」
「……ああ、いいけど」

 夜勤明けだったのか。拍子抜けしてそっけない返事になったが、彼女と仕事終わりの時間を共有できる事実に胸は躍っていた。

 しかし、彼女から誘ってくるなんて意外だ。先日のキスが効いたのだろうか。

「じゃ、すぐ片付けと着替え済ませてきますね。ここでは暑いしうるさいので、オフィスの方で待っててください」
「ああ」

 自分の名前が入ったツールボックスを片手に、涼野は工具置き場の方へ走っていく。

 整備士にとって、工具の管理はとても重要なこと。うっかり紛失した場合、見つかるまで整備部総出で探さなければならない。

 機体のどこかに工具を置き忘れた、なんていうのはもってのほかだ。

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