俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
「別にダメじゃない。じゃあそうだな。離陸直後にバードストライクでエンジンをやられて、空港に逆戻りした時の話がいいか」
「うわ~。それ一部始終をじっくり聞きたいです」
「本当に変なヤツだな。ま、食べながらゆっくり聞かせてやるよ。出勤は二十三時だったよな? 車で送ってやる。帰りも連絡くれれば迎えに行くし」
「えっ? いいですよ、深澄さんだって海外帰りでお疲れですし」
「俺もお前が寝てる間にソファで仮眠したよ。あとはお前を送った後でちゃんと寝る」
「でも……」
私はベッドでぐっすり寝かせてもらったのに、ソファで仮眠を取っただけの彼に送ってもらうなんて申し訳ない。
「お前を夜ひとりでモノレールに乗せる方が落ち着かないんだよ。俺が勝手にやりたいだけだから、黙って甘えてろ」
深澄さんがぶっきらぼうに言って、サラダを口に運ぶ。
「落ち着かないって……なんでですか?」
首を傾げてそう聞いたら、彼はごふっと咳き込んだ。
そして水の入ったコップを手に取り、中身をすべて飲み干すとじろっと私を睨んだ。
「お前、鈍いにも程があるぞ」
「えっ?」
鈍いって、なにに対して?