俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
ぽかんと間抜けな顔をしていたら、深澄さんはため息をついて苦笑する。
「なんでもない。それより、燃料投棄の話だろ」
「あ、はい……」
私の頭の中に浮かんでいる疑問符は減らないままだが、深澄さんがせっかく貴重な話を聞かせてくれるのだからと、無理やり気持ちを切り替えた。
その後、二十三時からの勤務に合わせ、三十分前に到着するように深澄さんが空港まで車で送ってくれた。
ロッカー室でいつものツナギに着替え、足元は安全靴に。おろしていた髪を後ろで簡単に縛り、イヤーマフを首に提げ、ヘルメットを手に現場に向かう。
夜勤は昼間よりすこし体が辛いけれど、空港への発着便がないため、一日働いて帰ってきた飛行機とじっくり向き合えるところが好き。
とはいえ、明日の朝からはまた目まぐるしく飛ばなければいけない飛行機を、ひと晩で整備するのも大変な仕事。
エンジン交換など大掛かりな作業が入ってくると、夜勤のメンバー総出で作業に当たる。危険な高所作業などもあるので、無線で細かなやり取りをしながら正しい手順で作業を進め、とにかくミスをしてはならない。